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――大阪府こども食堂ネットワークの活動内容について教えてください。
西山さん:2020年に大阪大学上須道徳先生が主導した、「近畿全域のこども食堂を対象とした調査」が活動をはじめるきっかけでした。調査結果を社会に還元するためにシンポジウムとしてオンラインで発信したところ、全国からたくさんの方が参加し、多くのつながりが生まれました。その中で「大阪府全域をカバーするネットワークがない」という課題が浮上しました。ネットワークを形成するにあたりどこが事務局を担うかという話になり、事務局の担い手について関係機関とも協議を重ね、最終的に大阪大学が事務局を担うことになりました。こども食堂の支援活動を行う認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ(以下、むすびえ)との出会いもこのシンポジウムがきっかけでした。それからさまざまな人が集まり話し合いを重ね、2023年3月3日に開催した連絡会で正式に発足しました。大阪府内各地域のネットワーク・自治体・社会福祉協議会・NPO等が「顔の見える関係」でつながれる場(連絡会)などを開催しています。現在、事務局には上須先生・西山・むすびえからプロボノとして参加している遠藤さんが関わってくれています。

――活動資金はどのように獲得されているのでしょうか。
西山さん:大学の研究費を活用しています。今年度は研究費のみで活動していますが、昨年度はむすびえ・こども食堂基金を活用していました。現在、活用している研究費は3年間の助成で今年が3年目(最終年度)になります。2027年度以降の資金確保が課題であり、次の研究費を獲得しにいく以外の選択肢は現時点では見えていない状況です。現在の活動規模を保つことができれば継続は可能ではないかと思っています。

広域ネットワークが解決できた課題・連携事例

――府内には各市区町村や地域ごとのネットワークが既に存在しますが、それらを包括する『広域ネットワーク』だからこそ解決できた課題や、これまでに生まれた連携事例はありますか?
西山さん:大阪府内には地域単位のネットワークが存在しますが、横のつながりはなく、お互いの活動内容を具体的には知らない状態でした。私たちが開催している連絡会(年2回の対面開催)で実際に顔を合わせることで、担当者の孤独感の解消や気づきが生まれていることが分かりました。特に、異動で担当になったばかりの自治体職員が連絡会に参加することで、自分の役割や地域のニーズを考える枠組みを持ち帰られるようになっています。具体的な連携事例としては、自治体担当者同士が連絡会後に互いの取り組みを見学し合ったり、社会福祉協議会の活動を視察したりするケースが生まれています。また、こども食堂に取り組むNPO同士の間に私たちが入り関係性を取りもつなど、コーディネート役としても機能しています。

企業・行政・市民それぞれへの期待

――こども食堂を『単に食事を提供する場』ではなく『地域全体で子どもを育む基盤』にするために、今後、企業や行政、市民に対してどのような関わり方や支援を期待していますか?
西山さん:今年度から企業連携が私たちの活動のテーマになっています。これまで行政や社会福祉協議会との関わりは強かったのですが、それだけではコミュニティ支援の行き詰まりがあるため、団体としても企業との連携を図っていきたいと思っています。理想としては「顔の見える距離感」のコミュニティで、自治体単位レベルの規模で企業・行政・市民などが互いにできることをし合える関係性が良いと思っています。大規模な支援も重要ですが、それとあわせて、地域の企業や市民が同じ地域の一員として継続的につながる関係も重要だと考えています。そのような関係性が築かれている地域の実践を見出し、共有していきたいと思っています。

現場から寄せられる共通の課題・悩み

――現在、大阪府内のこども食堂や中間支援団体から特に多く寄せられる『共通の課題や悩み』は何ですか?
西山さん: 最も多く聞く悩みは、自治体・社会福祉協議会・NPO間の連携の難しさです。企業との連携に長けたNPOもある一方で、すべての団体が十分なノウハウや接点を持っているわけではありません。地域の努力だけにゆだねるのではなく、私たちのような第3者的な立場から、関係者をつなぐ存在が関わることも大事だと思っています。また、今年度から大阪府の補助金財源の枠組みが変わったため、下半期から来年度にかけて「公的資金以外でどう資金を集め分配するか」という悩みが急増するのではないかと予測しています。企業連携のノウハウや接点が十分ではない自治体・社会福祉協議会もあり、資金調達を真剣に考えざるを得ない状況になりつつあると思っています。

――今後の展望や目指すビジョンをお聞かせください。
西山さん:まず「活動を続けること」が最優先だと思っています。研究費の有無に左右されず、必要とされる限り継続したいとメンバー全員で話し合っています。ビジョンとしては、縦割りや地域内の既存の壁を超え、関係者をつなぐ仕掛けづくりや調整・仲介の役割を担う存在であり続けること。大学に事務局を置くことで特定の利害関係から一定の距離を置き、多様な主体が参加しやすい「ゆるい場」を維持できていると思っています。大学の社会実装活動として位置づけておくことで、余白を持ちながら活動できると思っています。現場のニーズを拾い可視化して返し、また現場から反応を受け取るというサイクルを続けていきたいと思います。

大阪府こども食堂ネットワーク 事務局スタッフ 西山朋代さん
大阪大学大学院経済学研究科特任研究員。福祉専門職としての経験をもとに、大阪府こども食堂ネットワーク事務局として活動。日本で唯一、大学に事務局を置く特徴を活かし、研究と実践をつなぎながら、府内のこども食堂・地域食堂の活動把握や連携支援、情報発信に取り組んでいる。
【WEBサイト】https://osaka-kodomonet.org/
【Instagram】https://www.instagram.com/o.k.s.network/