大阪NPOセンター

役立つ専門家の声

2016.11.11

サロン、朝市、お助け隊・・・。地域のことは地域で解決するまちづくり

  大阪NPOセンター

きっかけは高齢者の居場所づくり

海に面した箱の浦団地のど真ん中に、「おしゃべりサロン」と書かれたノボリがはばたいている。ここでは、一杯100円のコーヒーを飲みながら、同じ団地の仲間と会話を楽しむことができる。運営しているのは、自治会・民生委員・校区福祉委員などの有志で結成された「箱の浦自治会まちづくり協議会」。2年ほど前、「することがない、いくところがない」と団地の中をさまようお年寄りの姿を見て、誰でも気軽に訪れることができる居場所を作りたいと考えたのが活動のきっかけだ。
2012年6月のオープン当時は住民センターで開催していたが、急な長い階段を登らなければならない丘の上にあってアクセスしにくいため、団地の「へそ(中央)」の平地へ移転することを決断。協議会は、敷地約71坪・建物約12坪の空き事務所を賃借して喫茶店風に改装し、同年10月から新しいサロンで再スタートした。おしゃべりサロン空き家を有効利用したサロンは、家賃や固定資産税で年間約13万円のコストがかかり、当初は100円コーヒーの売上げで運営コストがまかなえるか不安もあったが、実際には予想以上の客足があり、時にはサロンが満員になることも。

この需要に応える形で、半年後には開催日を週2回から週3回に増やし、結果的として2013年度の利用者は延べ5,800人、売上げ約60万円を計上。運営費用を支払っても剰余金が出る事業となった。
新サロン開始の翌月には、敷地内で週1回の「箱の浦・朝市」も開催した。3kmも離れた最寄りのスーパーまで行くことが困難な「買い物難民」を支援するのが目的だったが、これもまた盛況。
地元漁師が揚げた新鮮な魚や周辺農家が提供する安価な野菜を求めて、毎回100人近くの客がやってくる。
人が人を呼び、趣味でパンを焼く人や陶芸品を作る人なども出店。現在では、出店料や代行販売の手数料で年間約15万円の収入となっている。

朝市人気 朝市魚

相談も問題解決も。とことん自分たちでやる

高齢化率が30%を超えるという箱の浦団地。
地域のお年寄りたちをどう支えるかが大きな課題となる中で、「おしゃべりサロン」は交流を楽しむ場にとどまらず、「ここに来たら悩みを話せる」相談所としても機能している。一見すると、悩みがなさそうな人でも、会話が進むにつれてさまざまな困りごとが浮上する。サロンでは毎週火曜日は常駐のソーシャルワーカーが、それらの困りごとに対応。医療・介護・福祉の相談に応じ、専門的な立場から適切なサービスを紹介しているのだ。

これまで相談ごとと言えば、施設に赴くか、電話で問い合わせるしかなく、敷居が高く感じられた。
だが、行きつけのサロンでは普通におしゃべりをしている感覚で相談することができる。
一方、ソーシャルワーカーにとっても、戸回りする必要がなくなり、サロンに来るだけで利用者に出会える、より効率的な仕組みと言える。また、同協議会では相談できるだけでなく、高齢者の日常生活のちょっとした困りごとを解決する「お助け隊」というサービスも展開している。これは、「いつまでも住み続けられる地域」を目指して実施しているもので、パッキン交換のような簡単作業はワンコイン、30分以上かかる草刈りなどの仕事は見積もりを提示してから請け負うというサービス。

知らない業者に頼むより、顔見知りの近所の方にお願いする方が安心なうえ、作業している間に会話を楽しむこともできる良さがある。さらに、有償ボランティアが作業するため、地域で高齢者の仕事を創出することにもつながる、まさに一石三鳥の取り組みだ。

お助け隊このように、箱の浦団地では何かに困ったときは専門家ではなく、まず地域に相談する仕組みができている。「行政に頼らない」「とことん自分たちでやる」という協議会の姿勢が、地域のことは地域で解決する「地域主権」に基づいた町づくりにつながっている。

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